[最終更新日]2019年10月30日↺ [読了目安]こちらの記事は5分程で読めます
『ZAIMの教室 財務諸表専門の学校』のこすぴーです。
ANAホールディングス(9202)の2018年度4Qの決算が発表されました。(2019.4.26発表) (以下、ANAと表記)今回は、JALを分析した経験を持つふゆみさんとともに振り返っていきましょう。
よろしくお願いします!JALは同年の決算も分析したので、ANAの決算結果も気になるところです。
JALとの比較もしつつ。今回は、ANAの最新の決算状況を見てみましょう!気になるハワイ・ホノルル線を強化した超大型機『エアバスA380型機』の情報も気になるところです!
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1.2019年3月期の決算状況を見よう!
まずは、2018年度の決算状況を、ホームページや説明会資料、決算短信にて振り返っていきましょう。決算IR資料は、こちらにありますので、併せてご覧ください。
➤連結業績(増収増益)
▶資料1 売上高と各利益
(2018年度決算説明会資料より)
▶資料2 『航空事業』の収益
(2018年度決算説明会資料より)
▶気づき
➤【増収】売上高 前年対比4.4%増の20,583億円(+865億円)
➤【増益】営業利益 前年対比0.3%増の1,650億円(+5億円)
▶分析のポイント
➤なぜ増収増益したんだろう?
なんといっても、2018年度は2兆円の売上高を突破した節目の年のようですね!もちろん、売上高は伸びつつも、営業利益は堅調な印象を受けました。
JALの同年売上が約1兆5千億円なのと比べると、ANAの売り上げ規模の大きさがわかるね。
もうひとつ気づいたんですが、JALと同じように、国際線と国内線ってどちらも同じぐらいの割合なんですね。
JALも同じぐらいでしたが、ANAも似ていました。総売上高20,583億円のうち、国際線が6,515億円、国内線が6,966億円とそれぞれ約1/3を担う感じです。
『国内線のANA』と呼ばれるイメージが、数字的にも過去のものとなりそうですね!
そうだね、昔は『国際線のJAL』『国内線のANA』と呼ばれていたね。ANAは国際線の拡張を戦略しているから、後半の記事でも見ていこう。
ちなみに、増収の伸び率は、国際線のほうが上です!JALと同じような成長性でした。
売上高を引っ張っているのは、やはり国際線(国際旅客)でしたね!前年から総売上高は+865億円増収したけど、うち、国際線が+541億円なので、ざっと62%が国際線の増収だったんだね!
JALと似てます…もうすこし、売上の内訳を見ておきたいです!
➤国際線の内訳
資料3 行き先実績(国際線)
(2018年度決算説明会資料より)
欧州・中国線あたりの伸び率がけん引してくれてたんですね。
資料4 出発地と座席グレード別の旅客数(国際線)
(2018年度決算説明会資料より)
資料4を見ると、『日本発・海外発ともに前年より増えた』『座席グレート需要もビジネス・エコノミーともに増えた』というのがわかります。
▶決算短信(一部抜粋)
国際線旅客は、日本発ビジネス需要が好調に推移していることに加え、旺盛な訪日需要を取り込んだこと等 により、旅客数・収入ともに前期を上回りました。
決算短信でも、『ビジネス需要が好調』『旺盛な訪日需要』と言われているから、やっぱり国際線の好調さが今期のANAの要因だったのは間違いないね。欧州・中国ビジネス客が増えたのかもしれない。
そんな増収の結果が出せたんだけど、増益も利益は堅調な印象を受けました。『航空事業』のみですが、すこし、費用の内訳を見ておきましょう。
➤営業利益の分析
資料5 営業費用内訳
(2018年度決算説明会資料より)
営業費用を金額の大きい順トップ3を並べると下記のようになります。
①燃油費 3,337億円(+330)
②外部委託費 2,396億円(+159)
③人件費 2,078億円(+58)
②外部委託費というのが、JALには見られない項目でしたが、これは人材不足から一部、外注を図っているがゆえの費用と捉えてもいいのでしょう。
2017年3月期の決算説明会の質疑応答でも、下記のようなやりとりがありました。
▶2017年3月期 質疑応答(一部抜粋)
昨年の秋以降、ボーイング 787 型機のエンジンブレード問題への対応に注力してきましたが、整備部門の稼働状況を勘案して、ボーイング 777 型機のエンジン整備を一部、グループ外に委託することとしました。当社グループでは、事業規模の拡大に合わせて、計画的に人員の採用を実施してきましたが、昨今、様々な業界で課題となっている「人手不足」が、一部のグループ会社の離職率に影響しています。当社グルー プの人的な競争力を高めていくために、定期昇給やベースアップを実施する他、教育や訓練を充実させることで、採用競争力の向上を図り、「働き方改革」も推進していきます。
やっぱり、どこの企業も人材確保のために人件費もしくは外注費が増加してるってことなんですね。
そうだね。給料が上がらないと、転職など離職してしまうからね。一部は、自社グループでは賄いきれないところも出てくるよね。
営業利益の増減推移資料も参考に見ておきます。『航空事業』のみですが、増収するも、上記の3点が大きく利益を押し下げていそうですね…!
資料6 営業利益増減の推移(航空事業のみ)
(2018年度決算説明会資料より)
2.2020年3月期の見通しを見よう!
ここからは、2019年度(2020年3月期)の見通しを確認しておきましょう。
じつは、2019年度のANAもいろいろと変化が目白押しです。
ざっと、箇条書きで並べてみました。
▶ANAの2019年度見通し
✔ アジア・オセアニア路線の新規開拓
✔ エアバスA380型機による“ハワイ戦略”
✔ 格安航空会社(LCC)のピーチとバニラ・エアの統合
まずは、いっしょに公表している見通し数値を見ていきましょう。
資料7 2020年3月期見通し『全ての事業』
(2018年度決算説明会資料より)
資料8 2020年3月期見通し『航空事業』
(2018年度決算説明会資料より)
▶気づき
➤【増収】売上高 前年対比4.4%増の21,500億円(+916億円)
➤【同等】営業利益 前年対比0.0%の1,650億円(△0億円)
▶分析のポイント
➤なぜ増収同等益の見通しなんだろう?
増収同等益の要因に関しては、決算短信に説明があったので抜粋しながら見ていきましょう。
➤増収の要因
▶決算短信(一部抜粋)
国際線旅客では、引き続き好調なビジネス需要や旺盛な訪日需要の取り込みに注力し、更なる販売力の強化 を図ってまいります。路線ネットワークでは、本年9月から成田=パース線(オーストラリア西部)、ウインターダイヤ期間中に 成田=チェンナイ線(インド南部)を新規開設し、日本から直行便がなかった都市への就航を積極的に推進してまいります。
✔ ビジネス需要・訪日需要
✔ アジア・オセアニア路線の新規開拓
✔ エアバスA380型機による“ハワイ戦略”
国内線旅客では、底堅いビジネス需要に加え、訪日外国人旅客の国内移動の増加や改元に伴う大型連休等に より、航空需要は堅調に推移することが見込まれます。
✔ GW10連休などの大型連休
とくに、2019年はアジア・オセアニアの開拓を大きく進めるもようです。
▶資料9 アジア・オセアニア方面の事業計画
(2018年度3Q決算説明会資料より)
たしかに2019年はイベントの後押しもあって、底堅い需要もありつつ、アジア・オセアニアを中心として国際線の拡大を見込む計画なんですね!
➤同等益の要因
営業費用の内訳が載っていなかったので、同等益の要因は分析しづらいです。
しかし、大きく燃油価格の乱高下を予測していないようですので、2018年度と同じよう人件費・外注費への費用投資を続けることが見込まれます。
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3.【ハワイ攻略】超大型機での獲得!
2019年度見通しの中にも大きなトピックがもうひとつありました。それは『エアバスA380型機による“ハワイ戦略”』です。
これ綾瀬はるかさんもCMでやっていたので知ってます!ハワイ ホノルル線に大型機を投入するんですよね~!可愛いウミガメちゃん飛行機の写真も見ておきましょうよ♡
▶資料10 エアバスA380型機
(ANA公式HPより)
公式ページで詳細がANAからも書かれているんですが、本当に素敵な航空機を導入するようですね。
ムービー映像も公式ページにあるんですけど、空の海をウミガメちゃんが泳いでるみたいなんです~乗ってみたい♡
ちょっと特徴を書きだしておきますね。
▶エアバスA380型機の特徴
➤総2階建ての520席完備!
➤同社ホノルル線で初のファーストクラス!(鍵付き個室)
➤ビジネスクラスのペアシート席!
➤世界初!カウチシート導入!
カウチシート…複数席をベットのように使用する席
➤多目的ルーム完備! 授乳/おむつ交換/化粧/着替え可能
2019年5月24日就航とのことですが、順次同年7月より他2機も導入するようなので、こちらも写真を見てみましょう!
▶資料11 エアバスA380型機の機体種類
(ANA公式HPより)
(はぁ…ハワイ行きたくなっちゃった。)
決算短信でもハワイ戦略にことが書かれていましたね。
▶決算短信(一部抜粋)
営業・サービス面では、本年5月から成田=ホノルル線の一部の便にエアバスA380型機「FLYING HONU」を順次投入し、ハワイ戦略を展開してまいります。世界最大の旅客機でホノルル線専用機材である特徴を最大限に活かし、完全個室型のファーストクラスをはじめ、フルフラットのペアシートやエコノミークラスのカウチシートを導入する他、ホノルルのダニエル・K・イノウエ国際空港に自社ラウンジを新設する等、ANAにしか実現できない新たなハワイ体験を提供してまいります。
2019年国際線の柱となりそうな事業ですね。現状では、歴史的にもハワイ路線は圧倒的にJALが持っていたとのことですが、ANAもここで切り込むってことですね。
現状の首都圏~ホノルル便のANAシェアは約20%、いっぽう、JALは約30%あるようですので差が開いています。これを、エアバスA380型機投入後は、30%強まで引き上げたいみたいだね。週刊誌のインタビューで片野坂真哉社長も下記のように自信を見せていたよ。(2019.1.5発行「週刊ダイヤモンド」)
▶週刊誌インタビュー(一部抜粋)
ハワイは日本人の定番渡航先であり、閑散期がない。富裕層もファミリーも行くし、コンドミニアムに泊まるなどいろんな楽しみ方がある。A380もクラスや席を複数設けることで、安定的に席を埋める自身があります。(中略)きめ細やかな価格設定と、需要が少ない時期にはマイル向けに席を出すことで収益性を確保します。グループの旅行会社、ANAセールスでも積極的に販売し、同社の存在感も示したい。
2019年度のANAもとても楽しみです♡
そうですね!同インタビューでも、片野坂社長は、「中南米やアフリカにも飛ばしたい」と国際線の開拓に積極的です。
ですが、500席×3台の大型機を継続的に、集客して飛ばし続けるのは並み大抵のことではありません!(過去、JALはジャンボジェット機で苦戦)ここもANAの今後のチェックポイントですね!
2019年6月には株主総会も行われます。引き続き、ウォッチしつつも、素敵なサービスを提供してくれる企業を応援していきましょう!
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ここまで読んでいただき、ありがとうございました^^
下記のコラムも、応援の想いをこめて書きあげています。ひと休みしたら、ぜひご覧ください。
▼財務諸表・決算書を勉強してみたい方はどうぞ^^