[最終更新日]2019年10月17日↺ [読了目安]こちらの記事は4分程で読めます
『ZAIMの教室 財務諸表専門の学校』のこすぴーです。
ふゆみさんと一緒に、財務諸表・決算書の読み方を3時間でマスターする無料講座の3-5回目となります。
さて、JALの財務諸表を実際に分析してみていかがでしたか?
うーん…もう驚きの結果でした。実際の数字を見てみると印象が全然違います。
そうだよね。実際の数字が読めると、なんとなくイメージから、より明確にクリアに理解できるよね。
1.『3つの利益率』を見よう!
まずは、3つの利益率の分析をしていきましょう。
< 日本航空(JAL)の収益性① >
先生も数字を見てびっくり!同じような感想を持ちました。
売上総利益率はギリギリ稼げても、
本業での儲けの『営業利益率』も、
最終的な儲けである『当期純利益率』も損失に振れていましたね。
▶ 気づいたこと
✔ 3年間で右肩下がりの利益率である
✔ 2008年に急激に利益が落ち込み始めている
✔ 業界平均3~4%より大きく下回る営業利益率である
▶ 分析のポイント
✔ なぜ売上が伸びなかったんだろう?
✔ なぜ費用が増大したんだろう?
このように、大きく捉えたあとは、細かく原因を分析していきましょう。
2.なぜ『売上』が伸びなかったんだろう?
これは『経営成績』のところに、なんて書かれていましたか?
えーっと…出張客の減少やシートのグレードダウンって書いてありました。
あっ!あとは何よりも、2008年のリーマン・ショックですね!
下記が、参考資料として用意した『決算短信』の中にある経営成績から抜粋したものです。
▶ 2008年 決算短信より
下期に入るとサブプライムローン問題等に起因する米国発の金融資本市場の動揺が世界の実体経済に波及し景気の悪化が一層鮮明となるなか、輸出の大幅な落ち込み、企業収益や設備投資の減少、生産の大幅な低下、雇用情勢の深刻化等国内景気は急速に悪化しました。
この間、JALグループを取り巻く環境は、燃油価格(シンガポールケロシン)が 2008 年度に入って更に騰勢を強め、7 月には一時180ドルを突破するなど燃油費用を大幅に増加させました。その後、燃油価格は一転して急落したものの、内外景気の急速な悪化による企業の出張自粛等から航空需要が大幅に減少するなど、一年を通じて極めて厳しい状況が続きました。
指摘してくれたように、売上が減少した要因は上記の通りでした。
やはり、2008年のリーマン・ショックによって大きな打撃を受けたようです。
ちなみにシートのグレードダウンってわかりますか?
うーんと、なんとなく(笑)
お客様シートのグレードダウンとは、
たとえば、ファーストクラスで今まで利用していた人が、不景気の煽りを受けて、
ビジネスクラスやエコノミークラスへ変えることをいいます。
ファーストクラスやビジネスクラスは、エコノミークラスとは比べると、
かなり高単価なため、ここが激減すると大打撃ということですね。
3.なぜ『費用』が増えたんだろう?
では、参考資料の費用が膨らんだ要因は何でしたか?
うーんっと、やっぱり一番高い燃油費ですかね?
きちんと大きい数字からチェックできていますね!
参考資料につけた費用明細を見ると、確かに2008年の燃油費が509,100円と大きいです。
次に高い金額の項目は何でしょうか?
人件費です!
燃油費と人件費を合わせると786,800円と総額の約半分を占めます!
そのため、主にこの2つが原因で利益を圧迫したと言えます。
また、余裕があれば、年毎の推移も見ておきましょう。
燃油費は2003年と2008年を比べると約2倍に膨らんでいます!すごいことになってる…!
人件費の推移はどうかな?
人件費は…下がっている?
こちらも、『決算短信の経営成績』にこのように書かれていました。
▶ 2007年 決算短信より
さらに、エンジン洗浄の頻度増加等による燃油消費量の削減など、自助努力の徹底に加え、効果的な燃油ヘッジの実施により燃油費の上昇を大幅に抑制しました。また、人件費についても、基本賃金の 10%削減の継続に加え、臨時手当の大幅な抑制、特別早期退職措置の地上管理職や客室乗務員への実施、退職給付関連制度の改定などにより削減に努めました。
賃金10%カット
臨時手当の大幅抑制
早期退職措置
退職給付の改定
・・・
このような兆候が表れた時には、要注意ですね…!
なるほど。こうやって、大きく捉えて、細かく見ていくんですね~。
3時限目第5回目の授業、大変お疲れさまでした^^
次の授業は「3-6 儲かっているかな?② 『資産』に占める利益の割合を知る!- 日本航空(JAL) -」です
ひと休みしたら、ぜひ読んでみてくださいね!
・3-5 儲かっているかな?① 『売上』に占める利益の割合を知る!- 日本航空(JAL) -←イマココ