[最終更新日]2019年4月5日 [読了目安]こちらの記事は5分程で読めます
『ZAIMの教室 財務諸表専門の学校』のこすぴーです。
ふゆみさんと一緒に、財務諸表・決算書の読み方を3時間でマスターする無料講座の3-9回目となります。
今回は、JALの資産内での割合を分析していきます。
前回の分析から、さらに安全性分析が必要だと思いました…。
そうだね。もう少し、どんな状況なのか探る必要があるね。
▶ 流動比率・固定比率・固定長期適合率を復習したい方はこちらへ(安全性②の解説)
1.『JALの流動比率』を見よう!
まずは、流動比率から見ていきましょう。
< 日本航空(JAL)の流動比率 >
流動比率の意味は覚えていますか?
覚えています!流動負債を流動資産で賄えているのか?
正解!最低でも150%~は欲しいと教えました。
JALの倒産前の流動比率を見てみると、
✔ 2007年の時点で150%割れ
✔ 2008年からは100%を切る超危険領域
に入っています。
これって、もはや1年以内に現金化できるものより、1年以内の借金の方が大きいということですよね?
その通り!だから、支払期限が来たら、本当に危ない状況に陥っているんだ。
びっくりしました!!
2.『JALの固定比率と固定長期適合率』に異変!
つづいて固定比率と固定長期適合率も見てみましょう!
< JALの固定比率と固定長期適合率 >
▼ おさらい『固定比率』と『固定長期適合率』
固定比率
= 固定資産 ÷ 純資産
0%~100%:安全圏内
100%~150%:危険水域
150%~:超危険水域
固定長期適合率
= 固定資産 ÷ ( 純資産 + 固定負債 )
0%~100%:安全圏内
100%~150%:危険水域
150%~:超危険水域
なんだか…すごい数字になってる。
そうだね…それだけ経営は悲鳴をあげている状態だったのかもしれません。
ここでいう固定資産とは、もちろん飛行機などの設備のことを表しています。
実質、この飛行機は自分の持つお金の6~7倍の借金で賄っている状況です。
▶ 気づいたこと
✔ 100%を切っている危険水域(流動比率)
✔ 銀行融資が終われば倒産危機の状況
▶ 分析ポイント
✔ 貸借対照表の資産・負債・純資産の内訳を見てみる
さっそく、大きく捉えることができたので、詳細に細かく見てみましょう。
3.『JALの安全性の原因』を探ろう!
固定比率、固定長期適合率を見てきたので、貸借対照表の『資産』の部を見ておきましょう。
資産:1,681,352円
▼ その内訳は? ▼
流動資産:460,872円
固定資産:1,219,912円
資産のほとんどが固定資産で占められてる…!
そうだね、こういうような企業を、『設備投資型の企業』と呼びます。
JALだから固定資産=飛行機ってことね!
もうひとつ補足しておくと、年毎の推移を見ていくと驚くことに、
固定資産の額がほぼ変わっていません。
▶ 3年間の推移
固定資産:131万円→126万円→121万円
これは、お金がない状況でも、投資を継続しているということです。
(固定資産は追加投資がなければ、価値が下がっていきます。詳しくはこちらへ!)
もうひとつ大事な『現金』を見ていきましょう。
これは気づきました!すごい勢いで現金が下がっています。特に2008年!
▶ 3年間の推移
現金:35万円→16万円→17万円
これは負債が減っているから現金が減っている可能性があります。
もうひとつ、流動負債と固定負債の特徴もつかんでおきましょう。
この2つの推移を見るとある傾向があります。
それは、
『流動負債が上がり、固定負債が下がっている』
ことです。
それってどういうことですか?
これは、1年以内の借金が増えたってことだね?
おそらくだけど、お金を貸している銀行が慌てて、返済期限を早めている可能性があるね。
もうちょっと詳しくお願いします!
たとえば、自分たちの生活でもそうだけど、
生活状況が回っていない人にお金を貸したいと思いますか?
貸したいとは思いませんよね。
でも、長年の付き合いのある友達だったら、少しは協力してしまうかもしれません。
そんな時に、
『1年後に返してくれればいいよ』
なんて悠長なことを言うでしょうか?
できれば、
『貸すけど、できるだけすぐに返してね。』
って言いますよね。
銀行だって同じことが言えます。
お金のない企業には貸しませんが、長年の付き合いのある企業であれば、
『貸すけど、できるだけすぐに返してね。』
と行動することはあります。
なるほど!銀行もそういう風に行動した可能性があるんですね。
もちろんここまで読み取るのは中々難しいですが、こういった経営活動の背景も想像してみるのも悪くはありません。
ちょっと分析するのが面白くなってきました!
3時限目第9回目の授業、大変お疲れさまでした^^
次の授業は 「3-10 倒産しないかな?③ 『キャッシュ・フロー計算書』の状況を知る!- 日本航空(JAL) -」です
ひと休みしたら、ぜひ読んでみてくださいね!
・3-8 倒産しないかな?① 資産に占める『純資産』の額を知る!- 日本航空(JAL) -
・3-9 倒産しないかな?② 『資産内』での割合を知る!- 日本航空(JAL) -←イマココ
・3-10 倒産しないかな?③ 『キャッシュ・フロー計算書』の状況を知る!- 日本航空(JAL) -