日本航空(JAL) 2018年度決算 増収増益 「18-19年JALを徹底分析!」(2019年3月期)

 

 

[最終更新日]2019年4月30日 [読了目安]こちらの記事は5分程で読めます 

 

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JAL2019年株主総会の様子はこちらへ 

 

 

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こすぴー先生

『ZAIMの教室 財務諸表専門の学校』のこすぴーです。

日本航空株式会社〈9201〉の2018年度4Qの決算が発表されました。(2019.4.26発表)
今回は、財務諸表無料講座でもJALを分析したことのある、ふゆみさんとともに振り返っていきましょう。

 

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ふゆみさん

よろしくお願いします!個人的にも、勉強の思い入れがある企業なので興味深いです!

 

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こすぴー先生

一緒に倒産直前の財務諸表を勉強したよね。今回は、最新の決算状況を見てみましょう!

 

 

 

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【まとめ】2019.04.26発表 (日本基準)

▶2018年4Q決算 増収増益

【増収】売上高  前年対比7.5%の14,872億円 (+1,040億円)
【増益】営業利益  前年対比0.9%の1,761億円 (+15億円)

燃油費の乱高下があるものの、中国・ハワイ・グアム線などの国際線が好調。

 

▶2020年3月期見通し 増収減益

【増収】売上高  前年対比5.1%の15,630億円 (+757億円)
【減益】営業利益  前年対比3.5%の1,700億円 (△61億円)

来期の見通しは、首都圏空港の機能強化による人件費増により減益見込み。 


1.2019年3月期の決算状況を見よう!

 

まずは、2018年度の決算状況を、ホームページや説明会資料、決算短信にて振り返っていきましょう。
決算IR資料は、こちらにありますので、併せてご覧ください。

 

➤連結業績(増収増益)


▶資料1 営業収益(=売上高)と各利益

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(2018年度決算説明会資料より)

 

 

▶気づき
➤【増収】売上高 前年対比7.5%の14,872億円(+1,040億円)
➤【増益】営業利益 前年対比0.9%の1,761億円(+15億円)

 

▶分析のポイント
➤なぜ増収増益したんだろう?

 

 

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ふゆみさん

売上高は大きく伸びていますね!営業利益はそこそこ堅調な印象を受けました。意外と、JALの売上のうち、国際線と国内線ってどちらも同じぐらいの割合なんですね。

 

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こすぴー先生

たしかに、総売上高14,872億円のうち、国際線が5,306億円国内線が5,280億円とそれぞれ1/3を担う感じです。

 

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ふゆみさん

でも増収の伸び率は、国際線のほうが上です!成長性があるのかな~。

 

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こすぴー先生

売上高を引っ張っているのは、やはり国際線(国際旅客収入)でしたね!前年から総売上高は1,040億円増収したけど、うち、国際線が677億円なので、ざっと65%が国際線の増収だったんだね!

 

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ふゆみさん

もうすこし、売上の内訳を見ておきたいです!

 


➤国際線の内訳

 

資料2 国際線の実績

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(2018年度決算説明会資料より)

 

 

 

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ふゆみさん

比率しか載っていないけれど、中国・ハワイ・グアム線あたりの伸び率がけん引してくれてたんですね~。決算短信にもこんな一文が載っていました。

 

 

▶決算短信(一部抜粋)
ハワイ線においては、新しいハワイのコンセプトワード「Style yourself ~JAL HAWAII~」のもと、多様化するお客さまのニーズに合わせた新しいサービスを導入し、選好性をさらに高めるべくサービスの拡充に努めました。8月にはホノルル空港ラウンジをリニューアルし、10月からは提携ホテルでのアーリーチェックインサービスの提供、 ハワイアン航空とマイレージプログラムの提携を開始し、2019年3月末からは空港におけるJAL専用セルフサービスチェックインを開始しました。

 

 

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こすぴー先生

もしかしたら、全日本空輸(ANA)が超大型機をハワイ路線に飛ばすから、その対抗策なのかもしれないね。

 

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こすぴー先生

そんな増収の結果が出せたんだけど、利益はそこまで大きくは伸びませんでした。すこし、費用の内訳を見ておきましょう。

 


➤営業利益の分析

 

資料3 営業費用の内訳

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(2018年度決算説明会資料より)



 

営業費用を金額の大きい順トップ3を並べると下記のようになります。(その他は除く)

 

①人件費 3,021億円(+118)
②燃油費 2,512億円(+359)
③機材費 1,122億円(+50)

 


②燃油費に関しては、やはり燃油価格の乱高下が避けられない様子なのが、決算短信にも述べられていました。

 

▶決算短信(一部抜粋)
燃油費ならびに国際線旅客収入および国際線貨物収入に影響を与える原油価格については、上期では対前年同期比で大幅に上昇し、下期に入り、中国経済の減速等により下落に転じておりましたが、1月以降OPEC総会での原油減産合意や米中貿易協議の進展期待などにより再び上昇に転じ、不透明な状況となっております。

 

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ふゆみさん

やっぱり、燃油価格の安定性は、世界情勢とも結びつくところだから難しいことなんだね。

 

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こすぴー先生

それでも過去の教訓から、しっかりとヘッジに努めていくそうだね。また、①人件費もじわじわと費用の増加項目に上がっているんだけど、それは第2章の見通しでも詳しく話してみるね。

 

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ふゆみさん

営業利益の増減推移資料も参考に見ておきます。みなさんも見ておいてください!

 

 

▶資料4 営業利益増減の推移

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(2018年度決算説明会資料より)

 

 

 

2.2020年3月期の見通しを見よう!

 

ここからは、2019年度(2020年3月期)の見通しを確認しておきましょう。

 

じつは、2019年度の日本航空はいろいろと変化が目白押しです。
ざっと、箇条書きで並べてみました。

 

▶日本航空(JAL)の2019年度見通し


✔ 19年3月期で法人税の減免措置が終了
✔ 20年3月期からは通常の会社と同様の法人税率
✔ 航空機部品などの償却方法変更を2019年度に変更

  
まずは、いっしょに公表している見通し数値を見ていきましょう。

 

 

資料5 2020年3月期見通し①

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(2018年度決算説明会資料より)

 

 

資料6 2020年3月期見通し②

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(2018年度決算説明会資料より)

 

▶気づき
➤【増収】売上高 前年対比5.1%の15,630億円(+757億円)
➤【減益】営業利益 前年対比3.5%の1,700億円(△61億円)

 

▶分析のポイント
➤なぜ増収減益の見通しなんだろう?

 


増収増益の要因に関しては、決算短信に説明があったので抜粋しながら見ていきましょう。

 

増収の要因

▶決算短信(一部抜粋)
国際線旅客においては、安定した日本発の需要に加え、G20大阪サミット2019やラグビーワールドカップ2019大会 の開催もあり、引き続き海外発の需要増加が期待される一方、LCCを含めた国内外の航空会社の供給拡大に伴い、他社との競争激化が想定される中で、事業ボラティリティを考慮し、過大な投資や固定費の増加を抑制しつつ、ネットワークの拡充を図ってまいります。


✔ G20大阪サミット2019
✔ ラグビーワールドカップ2019大会

 

路線運営面では、旺盛な需要の見込まれる大型連休や夏季期間などにおいて、羽田=新千歳線や羽田=那覇線など を増便し、季節需要に適合した運航を行います。

 

✔ GW10連休などの大型連休

 

 
とくに、2019年はGW10連休もあるため、多くの予約をいただいているようです。

 

▶資料7 GWの予約状況

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(2018年度決算説明会資料より)

 

 

 

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ふゆみさん

たしかに2019年はイベントの後押しもあって、増収が見込めそうな勢いなんだね。それでも減益予想ってことは何か費用が圧迫するのかな?

 

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こすぴー先生

そうだね。供給増により燃油費が上がるのを置いておけば、2つ要因があるみたいだね。

①減価償却費の償却方法変更 

②人件費の増加

 

 

減益の要因

▶決算短信(一部抜粋)
費用面については、燃油市況の変動や供給量の増加による燃油費の増加、2020年の首都圏空港の機能強化に向けた人件費および諸費用の増加、ならびに、航空機部品などの償却方法の変更による減価償却費の増加を見込んでおります。費用が増加傾向にある中、継続的な生産性向上施策の実施や部門別採算制度の深化を図り、費用効率化に向けた 不断の努力を行ってまいります。

 

✔ 減価償却費の償却方法変更
✔ 人件費の増加

 


①減価償却費の償却方法変更 △100億円

 

航空機部品などの償却方法変更の影響で100億円の費用が見込まれるみたいです。

 

日本航空(JAL)は基本的に『定額法』を採用しているのですが、今回は耐用年数の見直しということだそうです。

 

▶決算短信(一部抜粋)
変更前は、航空機の機体に装着される客室設備やエンジン部品なども航空機と一体として償却。変更後は、各々の耐用年数で償却


そのため、この償却方法変更がなければ、実質増益の見込みのようです。

 

 

▶営業利益
変更)1,800億円(+38)←実質、増益
変更)1,700億円(△61)

 


②人件費の増加 △108億円

 

2020年までに首都圏空港の機能強化を図りたいので、人件費が108億円の費用だそうです。

 

これは、もちろん2020年の東京オリンピックも見込んでの対応となるのでしょう。

人員も増やし、人件費もあがるそうですが、あくまでコストマネジメントを行ったうえでの対応となるようです。

中期経営計画の資料のなかにも、このような指標がありました。

 

▶資料8 コストマネジメント

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 (中期経営計画資料より)

 

 

 

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ふゆみさん

2020年度は東京オリンピックが控えているから今の内に先行準備しているんだ。航空業界にとっては大きな転換期ですね。

 

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こすぴー先生

見通しは、たしかに減益となりましたが、おおむね2019年度も堅調を維持しそうです。配当額も変わらず、自己株式の消却も行うようですし、株主還元が手厚い印象です。株式投資を行っている人は下記資料2つも要チェックしておきましょう。

 

 

資料9 株主還元①

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(2018年度決算説明会資料より)


資料10 株主還元②

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(2018年度決算説明会資料より)

 

 

3.安全に対する改善求められる!

 

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こすぴー先生

そのほかにも、資料を見ていて印象的なトピックが2つありました。

①2018年12月に運航乗務員の飲酒問題

②2018年5月にエンジン損傷後の、破片落下

 

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ふゆみさん

どちらの問題も、安全が最優先の航空事業にとってはとても悲しい事件だったのですね…。

 

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こすぴー先生

特に、飲酒事件に関しては、決算短信でも下記のような長文で謝罪と改善を述べていますね。全部読まなくていいんですが、その長さにびっくりです。

 

 

▶決算短信(一部抜粋)

 当社グループは、2018年10月以降、定期航空運送事業者として社会の皆さまからの信頼を著しく損なう事態を招い たことについて極めて重大に受け止めており、今後、全社一丸となって再発防止に努めるとともに、信頼の回復と安全・安心の追求に向け全力を尽くす所存でおります。 2018年12月21日、日本航空は運航乗務員の飲酒に関わる問題や乗員編成の変更判断等、航空の安全に影響を及ぼす 重大な違反行為が認められたとして、国土交通省から「航空輸送の安全の確保に関する事業改善命令」を受け、同 日、日本エアコミューターは運航乗務員の飲酒事案により「運航乗務員の不適切な行為及び不十分な安全管理体制について(厳重注意)」を受けました。また、2019年1月11日には、日本航空は客室乗務員の飲酒事案により「航空輸送の安全の確保に関する業務改善勧告」を受けました。 これら行政処分および行政指導に対しては、2019年1月18日に国土交通省に対し報告書を提出しましたが、その後も、アルコール検査の実施に際して、決められた手順が守られなかった事案を発生させております。 行政処分および行政指導を受けた後、当社ではこれらの事案を安全に関わる重大な問題と認識し、社長直轄の社内 検証委員会を立ち上げ、社外有識者である安全アドバイザリーグループからの助言を受けつつ、一連の不安全行為の背景にある安全・安心阻害行為発生の根本的な問題解決に向け検討を進め、2019年3月27日に同委員会が提言を取りまとめました。同提言を踏まえ、既存の枠組みにとらわれることなく抜本的な安全体制の再構築に取り組み、お客さまをはじめ広く社会からの信頼を回復できるよう全力で取り組んでまいります。

 

 

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ふゆみさん

これ、決算短信の一番最初に長文でびっくりしました。でも、それだけ重大なことだと捉えているってことですよね。

 

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こすぴー先生

そうだね。これから、2020東京オリンピックも控えて、社員の意識改革や、フィロソフィー(企業理念)教育をはかりたい矢先の事件だったから、赤坂社長も大きな憤りを感じていると週刊誌のインタビューで答えていたよ。(2019.1.5発行 週刊ダイヤモンドより)

 

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ふゆみさん

大きなインフラ事業で、わたしたちも恩恵を受けているので、ぜひ安全への対策を打てるといいですね。

 

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こすぴー先生

そうですね!ぜひ、わたしたちも厳しくウォッチしつつも、日々頑張ってくれている企業を応援していきましょう!

 

 

 

 

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こすぴー先生

ここまで読んでいただき、ありがとうございました^^

下記のコラムも、応援の想いをこめて書きあげています。ひと休みしたら、ぜひご覧ください。

 

 

 ▼画像をクリック!!

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▼財務諸表・決算書を勉強してみたい方はどうぞ^^ 

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