ANA 株主総会 株価の低迷→自社株買いをなぜ要求?自社株買いとは配当金と並ぶ株主還元である!(2019年3月期決算)

 

 

[最終更新日]2019年6月22日 [読了目安]こちらの記事は5分程で読めます 

 

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こすぴー先生

『ZAIMの教室 財務諸表専門の学校』のこすぴーです。

ANAホールディングス〈9202〉の株主総会が2019.6.22に行われました。お相手はJALの株主総会にも出席したふゆみさんです。

 

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ふゆみさん

よろしくお願いします!今回は、話題のハワイホノルル路線、ジャンボ機『エアバスA380ホヌ』関連の展示もあり、とてもじっくり見てしまいました♡

 

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こすぴー先生

展示ブースでも推していたよね!ところで、質疑応答であった『自社株買い』って理解できましたか?

 

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ふゆみさん

いえ…。「ANA株価が低迷してるから、自社株買いしてほしい!」って株主さんが質疑応答していたんですが、いまいち何のことかわかりませんでした。

 

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こすぴー先生

今回は、企業の自社株買いについても解説していくね^^

 

 

 

➤目次

1.ANAの2019年株主総会情報!

 Point ➤ハワイ路線エアバスA380ホヌの展示が満載!

2. ANAの株主総会の雰囲気は?

 Point ➤飲酒問題・エンジントラブルに関連して安全対策が求められる!

3.なぜ株価が低迷すると、自社株買いを要求するの?

 Point ➤自社株買いは配当金と並ぶ株主還元である!

  

 

1.ANAの2019年株主総会情報!

Point ➤ハワイ路線エアバスA380ホヌの展示が満載!

 

▸資料 株主総会の会場

 

 

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こすぴー先生

第74回の株主総会はたくさんの参加者で賑わいしました!印象的だったのは、やはり話題のハワイホノルル路線のエアバスA380の展示ブースが充実していたことでした!

 

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ふゆみさん

読者の皆さんにも、ぜひ見てもらいましょう♡まずは、総会の基本情報から振り返ります。

 

 

▸資料 招集通知

【開催情報】

日時:2019年6月21日(金)AM10時

場所:グランドプリンスホテル新高輪 国際パミール

 

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(ANAのHPより)


質疑応答も盛り上がり、第2章で詳しく述べるため、当日の議事進行をご紹介しておきます。


➤参加者数

国際館パミールで開催しましたが、1,972名の参加者でした。

 

➤参加者層

ご年配の方を中心に、飛行機好き、ANA好きの方がたくさんいらっしゃいました。

質疑応答でも、株主総会のために地方からANAを使って参加した方が多数!

 

➤配当金

前期より15円増配し、1株あたり75円になります。

 

➤お土産

特にはありません。


➤スタッフ

客室乗務員らしい清々しい挨拶で迎えてくれました。

とても気持ちのいいご対応で脱帽です。

 

➤展示

多くの展示物がありました。

特に話題のハワイ路線、ジャンボ機A380ホヌの紹介がたくさんありました。

今回は、たくさんの写真をご覧ください!

 

▸資料 エアバスA380

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▸資料 カウチシート

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▸資料 ファーストクラス

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▸資料 ビジネスクラス

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▸資料 綾瀬はるかさんのCM

 


➤議事進行

・議事運営の説明

・監査報告

・事業報告の紹介

・飲酒問題とエンジントラブルへの謝罪(取締役 平子さんより)

・ANA Blue Base(総合トレーニングセンター)の紹介(取締役 山本さん)

・質疑応答(10:53頃)


事業報告はすでに用意された映像を使って15分強紹介されていました。

 

 

 

 

 

 

2.ANAの株主総会の雰囲気は?

Point ➤飲酒問題・エンジントラブルに関連して安全対策が求められる!

 

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こすぴー先生

今回は、【安全対策】【株価対策】の質問が数多くありましたので、ご紹介していきます。会場は録音が禁止のため、多少の語弊があることご了承ください。

 

<質疑のあったテーマ>

・株主優待エアバスA380就航記念の運営に関する指摘(2問)

・首都圏以外の地方にも国際線の発着を増やして欲しい(関西国際空港など)

・ボーイング787の改良と搭乗口の発見の紙をなくしてほしい

・予約センターや客室乗務員の教育に力を入れて欲しい(2問)

・スカイマークの状況を教えて欲しい

・MRJのジェット機の導入スケジュールを教えて欲しい

・ディスプレイ機器の故障を直して欲しい

・株価の低迷が続くので自社株買いをしてほしい

 

安全対策が求められる声が多数

 

Q.南品川在住なので歩いてきた。新航路があるというが、落下物などの対策を教えて欲しい。最近は、羽田発着枠も増えるので。

 

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代表取締役 清水さん

2020年にむけて国土交通省が住民説明会をしているところです。大田区・品川区の連合で対策委員会をしています。ハード面の対策だと、低騒音機に変えることが大事であります。次世代の機器に変えることが大事。航空会社だけでなく、ボーイングのメーカーや国土交通省も含めて、対策している。

 

 


日本航空のJALもそうでしたが、いま、2020年オリンピック・パラリンピックや2025年の大阪万博に向けて、航空業界には大きく追い風が吹いています。

 

訪日観光客を受け入れるためにも、発着枠を増やす準備をしたり、受け入れ準備を進めているところです。


その中で、安全面として、騒音問題の指摘もあったのは、ごく自然なことだと思います。


他にも、下記のような質問がありました。

 

Q.三重県からやってきた。総合訓練センターのBlue Baseの話に関連して、御巣鷹山事故の資料を見てから、驚愕した。もらい事故かもしれないが、雫石事故のことも訓練センターにいれてほしい。

 

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取締役 平子さん

長雫石事故は7月に起きました。7月は安全推進強化月間にもしており、毎年、雫石に訪問しています。安全教育センターを設置していますが、社員教育の一環として、安全教育の一環として取り組みたいです。

 

 


雫石事故とは、1971年7月30日に、全日本空輸の旅客機と航空自衛隊の戦闘機が飛行中に衝突した事故のことです。


やはり、安全・安心あってこその航空サービスであることを再認識させられました。


というのも、質疑応答に入る前には、取締役の平子さんから『飲酒問題』と『ボーイング787のエンジントラブル』の説明がありました。

 

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取締役 平子さん

この度は社員の飲酒問題に関して、ご心配おかけし申し訳ありません。検査の厳格化と意識改革を行っていきます。また、信頼と安心を取り戻せるように、ANAはリーダーシップを発揮していきます。

 

 

 

こちらのテーマに関しても、説明と謝罪、今後の対策に10分ほど時間がとられました。


いつ安全を脅かす事故につながりかねないため、

日本航空JAL含めて、業界を横断して取り組んでいきたいと強い意志を見せていました。

 

 

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ふゆみさん

やっぱり、機内サービスも大事だけど、その前に安全あってこその業界ですもんね。

 

 

 

 

 

 

3.なぜ株価が低迷すると、自社株買いを要求するの?

Point ➤自社株買いは配当金と並ぶ株主還元である!

 

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こすぴー先生

他にも、今回は自社株買いの話題がでましたので、『自社株買いとはなにか?』わかりやすく解説したのち、質疑応答を振り返りたいと思います。

 

 

 

▶ANAの自社株買い発表(2017年8月31日)

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(ANAのHPより)

 

 

▶自社株買い…

企業が発行した株式を、自らの資金を使って市場から買い戻すこと。買い戻した株式のことを、自己株式といいます。

 

 

たとえば、ある会社が100株を市場に発行していたとします。

60株を市場から買って自社のものとして買い戻して、世の中に出回る株式数を40株にすることです。


単純に、世の中に出回る株数が減るので、出回っている株式の価値が高まるということです。


たとえば、嵐などの人気アーティストのコンサートチケットが、100枚出回っているのか、40枚出回っているのかでは、1枚のチケットの価値が変わってくると思います。

出回っているチケット数が減ったら、争奪戦ですよね。

 

では、このような取り組みをすると、

具体的にどういうことが起きるのか大きく6つあります。


企業が自社株買いをするメリットのようなものです。


①PERが低くなり株式の割安感が高まる

②ROEが向上して財務体質が良くなる

③ストックオプションとして活用できる

④金庫株として今後の資金調達ができる

⑤敵対的買収の防衛ができる

⑥参考)自己資本比率は低下する


すべて説明するととても長くなってしまうため、

今回は①と②の説明だけにして、別記事にて③~⑥まで解説したいと思います。

 

①PERが低くなり株式の割安感が高まる

 

PERとは株価収益率のことで、利益と株価の関係から割安度を見る指標です。

PERの数字が低いほど、割安と言えます。

(PERの説明はこちらへ)

 

株価収益率(PER)(”倍”で表記する)

=1株当たり株価÷1株当たり当期純利益(EPS)

 

自社株買いをすると、このPERが低くなるということをシミュレーションしてみました。

 

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このように、自社株買いをすると、PERが低くなり、

 

投資家は「割安な株式だ!」と判断して

 

株式の買いが勝り、株価が上がるということです。


*補足:PERの計算式にある発行済株式数とは、自己株を差し引いた株式数のことです(会計基準の適用指針35項)

 

②ROEが向上して財務体質が良くなる


ROEとは、自己資本利益率のことで、株主資本(株主などから集めたお金)でどれだけ効率よく利益を稼いだかの指標です。

 

どうせ投資するなら、投資したお金を効率よく使って利益を上げられる会社に投資をしたいですよね。

 

自己資本利益率(ROE)

=当期純利益÷純資産×100

 

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(自己資本利益率の説明はこちらへ)

 


このROEが、自社株買いによって向上するのでシミュレーションしていきましょう。

 

 

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このように、自社株買いをすると、自己資本利益率(ROE)が向上して、

 

投資家は「効率よく稼いでいる財務体質の良い企業だ!」だと判断して、

 

株式の買いが勝り、株価が上がるということです。


また、自社株買いが財務諸表のどこに表示されるかというと、


・貸借対照表の純資産の部

・キャッシュ・フロー計算書の財務C/Fの部

・株主資本等変動計算書


具体的に、ANAの財務諸表でどのように表記されているのか確認しておきましょう。

(今回は、株主資本等変動計算書は割愛します)


▸貸借対照表の純資産の部

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(ANAの決算短信より)

 

 

▸キャッシュ・フロー計算書の財務C/Fの部

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(ANAの決算短信より)
 

 

 

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ふゆみさん

ほんとだ!たしかに700億円近く、自己株式のところがマイナスになっていますね!

 

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こすぴー先生

補足ですが、貸借対照表では、純資産を控除するかたちで現されます。

さて、その他にも③~⑥の理由もありますが、別記事に譲りますが、大事なのはここからなんだ!

 

 

 

 

自社株買いをすると、必ず株価が上がるわけではないということです。


というのも、自社株買いをした後の選択で、せっかく市場からの株式数が減ったのに、また戻るということもありえます。


選択は2つです。


・消却

➤自己株式を消滅させることです。完全に発行済み株式数が減ります。


・処分

➤自己株式を売却させることです。発行済み株式数が元に戻ります。

 


*これ以外に、まだ消却も処分もせず、自己株式として保有していることもあります

(これを「金庫株」といいます。たとえば、ストックオプションなどは最たる例です。)

 

 

株価が上がりにくいのは、後者の『処分』です。

一方、前者の『消却』は株価が上がりやすいです。


たとえば、今回のANAの自社株買い700億円がいったん自己株式として、市場から株式が減ったにも関わらず、

また他者に売却することで、市場に出回る可能性もあります。

 

そうすると、結局、市場の株式数は変わることはありません。


そのため、単純に自社株買いのニュースだけで株価が上がる!と判断せずに


しっかりと、その後どういう選択をとっているのかを確認することが大事であります。

 

 

 

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ふゆみさん

え!今回のANAさんはどっちなんですか??

 

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こすぴー先生

財務諸表を見てみるね!

 

 

 

 

2017年度の財務諸表を見る限りですと

13,496百万円 (3,144,164 株)を消却しており

残りの金額約600億円に関しては、まだ自己株式として保有している状態となります。


しかし、これは転換社債による自己株式の取得なので、

基本的には一定の条件が済み次第、消却すると発表しています。

そのため、転換社債を買った投資家がこの社債を株式に転換しない限り、消却していく自己株式となります

(資料はこちらより)

 

▸財務諸表(自己株式の動き)

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 (ANAの決算短信より)

 

 

▸自己株式消却のニュース(2018年3月22日)

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(ANAのHPより)


 

 

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こすぴー先生

さて!長くなりましたが、あらためて、ANAの質疑応答に移ってみましょう^^

 

 

Q.自社株買いについて。東証全体で6兆円の自社株買いを去年(2018年度)している。各社も株主還元をしている。ANAは過去2回の大幅な増資によって、株価が下がっているのではないか。航空業界は追い風が吹いているはずだ。自社株買いをさらにして株主価値を高めて欲しい。

 

 

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片野坂社長

2017年にユーロ円建て、1400億円社債を発行し、700億円で自社株買いに当てています。配当金を基本考えにするが、自社株買いも含めて、総還元性向とする。

 

 

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取締役 福澤さん

財務担当2017年の自社株買いと株価について。大きな要因として、米中貿易戦争、イラン中東情勢による原油価格など投資家の不安を煽っています。しかし、ANAとしては、事業投資を行いながら、取り組みたいです。

 

 

Q. ANAの株主優待を使って、山形から来た。株価についての質問になる。本日、下落していた。9日連続の下落。不満がある。実は、何か悪い材料があるのではないか?これが終わったあとに何かあるのか?まさか増資の発表とかある?株価対策について質問したい。

 

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片野坂社長

定期的にあるのではないかと懸念されていますが、増資の予定はございません。財務体質として自己資本比率が40%を超えています。

 

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片野坂社長

株価に関しては、競合他社も日経平均も下がりました。さまざまな原因があるが、米中貿易摩擦における懸念、ホルムズ海峡問題でも、原油が上がってきています。原油はヘッジをしているのですが、原油が上がると航空関連の株を売るという自動的な売買をされてしまいます。

営業益4連続最高益を達成しても、市場に揺さぶられるのが現実ですが、ANAはこれからも頑張っていきます。(会場、拍手喝さい)

 

 


こうしたように、株価対策としての『自社株買い』の話題についても触れられました。


なかなか、ANAの株価が振るわないようですね…。


もしかしたら、まだ『消却』にまでいたってないから、

株価が振るわない…という可能性もあるのかもしれません。

*転換社債による自己株式の取得なのですぐに消却ができない面もあります

 

 

しかし、こればかりは投資家心理はわかりません。

 

再度、注意ですが、消却したから必ず株価が上がるわけでもありません。


ですが、個人的には、片野坂社長も説明しているとおり、


4期連続の最高益を達成


しているのに、株価が振るわないというのは、

なかなか市場評価は厳しいところがあります。


アナリスト予想値や、世界情勢を直に影響を受けやすい業界にいることなど、本当に色々な要因はあるのでしょう。


『世界情勢は変えようがないので、淡々と自社の企業価値を高めるように頑張る。』


という意味での、片野坂社長の強いメッセージを最後に感じましたので、引き続き応援していきたいですね!

 

 

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ふゆみさん

株価対策の質問には、自社株買いも含めて、そういう意味もあったんですね~。本当に企業活動と経済の関連など、単純な世界ではないわけですね。

 

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こすぴー先生

本当に経営は難しいね!でも、今回は『自社株買い』について理解が深まったかな?ぜひ、他の企業のニュースが出た時にもチェックしてみてください^^

 

 

 

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こすぴー先生

ここまで読んでいただき、ありがとうございました^^

下記のコラムも、応援の想いをこめて書きあげています。ひと休みしたら、ぜひご覧ください。

 

 

 

 ▼画像をクリック!!

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▼財務諸表・決算書を勉強してみたい方はどうぞ^^ 

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