花王 化粧品会社の収益性を比較!利益率を理解しよう!2019年3月期決算

 

 

[最終更新日]2020年01月15日↺ [読了目安]こちらの記事は5分程で読めます 

 

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こすぴー先生

『ZAIMの教室 財務諸表専門の学校』のこすぴーです。

花王株式会社<4452>の2018年度4Qの決算が発表されました。(2019.2.4発表) 今回は、花王株主総会の記事でもご一緒したなつなさんと一緒に振り返っていきましょう。

 

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なつなさん

よろしくお願いします! 普段は主婦をしているので、化粧品や洗剤など、とてもお世話になっています。そして、2019年4月には、新商品のアタックZEROも発売されましたし。

 

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こすぴー先生

中期経営計画「K20」の2年目の年でもあります。他にも、今回は、化粧品事業の行く先や中国市場での紙おむつについても見ていきましょう。

 

 

 

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1.2019年3月期の決算状況!

Point ➤ 増収増益達成 【不調】メリーズパンツの中国売上

 

まずは、2018年度の決算状況を、ホームページや説明会資料、決算短信にて振り返っていきましょう。
資料は、こちらにありますので、併せてご覧ください。


➤連結業績(増収増益)


▶資料1 売上高と各利益

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▶気づき
【増収】売上高 15,080億円 前年対比1.2% +186億円
【増益】営業利益 2,077億円 前年対比1.4% +29億円

 

▶分析のポイント
➤なぜ増収増益したんだろう?

 

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こすぴー先生

2018年度は、わずかながらですが、増収増益の結果となりましたね。しかし、毎回、会社予想を上回る実績を出していた花王さんが、今期は8期ぶりに会社予想未達となりました。(会社予想:売上高15,400億円 営業利益2,150億円)

 

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なつなさん

これは、もう少し、各商品をイメージして、要因を探っていきましょうよ。

 

 

▶資料2 各事業の業績

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➤化粧品事業

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➤スキンケア・ヘアケア

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➤ヒューマンヘルスケア

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➤ファブリック&ホームケア事業

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➤ケミカル(化学品)事業

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なつなさん

これを見ると、化粧品事業が大きく増収増益した2018年度だったようですね。でも、主力の『ヒューマンヘルスケア』が減収減益…!そして、『ファブリック&ホームケア』は増収減益なんですね。

 

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こすぴー先生

これは、深いワケがありそうだね。化粧品事業は第2章に譲るとして、他2つの事業を分析してみましょう。

 


➤ファブリック&ホームケア(増収減益

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▶気づき
【増収】売上高 3,441億円 前年対比2.6% +84億円
【減益】営業利益 712億円 前年対比7.0% △50億円

 

▶要因
➤「アタック」「フレア フレグランス」「キュキュット」好調により増収
➤石化原料等の価格上昇の影響等で減益

 

まずは、『ファブリック&ホームケア』の増収減益です。

 

こちらは売れ行きが堅調に伸びるも、石化原料等の価格上昇の影響があったそうです。
決算短信にも要因が書かれていました。

 

▶決算短信(一部抜粋)
ファブリックケア製品は、日本で厳しい競争環境の中、売り上げは、堅調に推移しました。衣料用洗剤「アタック」は、「洗たく水を抗菌水に変える」という価値伝達の強化を図り、柔軟仕上げ剤では、高付加価値商品の市場拡大が続く中、「フレア フレグランス」を改良しシェアを伸ばしました。
ホームケア製品は、売り上げは、堅調に推移しました。日本では、泡スプレータイプの食器用洗剤「キュキュット」を改良して新たな使用者を開拓し、順調に推移しました。 (中略)営業利益は、厳しい競争環境の中、石化原料等の価格上昇の影響等により、712億円(対前期50億円減)となりました。


原料価格の上昇は引き続き、ウォッチしつつも、改良のおかげで、手堅く消費者には購買されている印象のようです。


➤『ヒューマンヘルスケア』(減収減益

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▶気づき
【減収】売上高 2,677億円 前年対比4.4%減 △135億円
【減益】営業利益 279億円 前年対比19.1%減 △65億円

 

▶要因
➤中国での電子商取引法の影響で減収減益

 

つぎに、『ヒューマンヘルスケア』では減収減益の結果でした。

 

こちらは、売上高も利益も減収の結果となりました。まずは、決算短信を見てみましょう。

 

▶決算短信(一部抜粋)
ベビー用紙おむつ「メリーズ」は、日本では製品の改良を行い、サンプリング等の販売促進活動を強化して、消費者からの支持は拡大しましたが、2019年1月から中国で施行の新電子商取引法の影響等で、中国での転売を目的とした需要が大きく減少し、売り上げは前期を下回りました。また中国では、価格競争の激化や現地メーカーの攻勢等により、 売り上げは前期に比べて減少しました。

 

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なつなさん

これは、中国で電子商取引法が新しくなって何か変わったんですか?

 

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こすぴー先生

これはすこし時系列で補足するね。

 

 

▶中国での紙おむつ購買縮小(時系列)

 

① 18年夏に中国で電子商取引(EC)事業者に登録や納税を義務付ける法律制定
② 19年1月施行前に、手持ちのメリーズを安値で売り、花王の正規品が売れにくくなる。
➤日本などでの購買品を中国で転売しにくくなるため、在庫一掃
③ 花王はブランドを保つためにも、安売りをしなかった

 

 

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なつなさん

市場に安売りの紙おむつ「メリーズ」が出回って、一時的に売れにくくなっちゃったんだ…!

 

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こすぴー先生

そうだね。株主総会でも澤田社長が言ってけど、販売価格を下げた安売りに対抗することもできたけど、ブランド価格戦略もあるのでやめたそうだね。

 

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なつなさん

そう言ってましたね。今後は、『戦略の変更』が必要だとも言っていました。注意深く見ておきたいですね。

 

 

 

 

 

 

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こすぴー先生

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2.2020年3月期の見通し!

Point ➤ 増収堅調見込 【課題】化粧品事業の収益性

 

ここからは、2019年度(2020年3月期)の見通しを確認しておきましょう。

 

じつは、2019年度の花王は17-20年の中期経営計画『K20』の後半にさしかかるから、とても重要な年になりそうです。

それは、各事業での中計目標への到達も求められるからです。

 

決算短信では意気込みが、そして説明会資料には、2019年度のトピックが挙げられています。

 

▶決算短信(一部抜粋)
2019年度は、花王グループ中期経営計画「K20」の目標達成のための勝負の年と位置付けています。「K20」のスタートから2年間で見えてきた課題にしっかりと取り組み、得られた成果や蓄積してきた技術、知見を最大限に活かしていきます。そのためには、企業理念である「花王ウェイ」の基本となる価値観にある「正道を歩む」を貫きながら、「K20」に掲げるスローガン「自ら変わり、そして変化を先導する企業へ」を高い次元で実践していかなければなりません。


▶資料3 2019年の取り組み

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この中でも、特に注目したいのが、『化粧品事業』へのテコ入れが求められることです。

まずは、いっしょに公表している全体の見通し数値を見ていきましょう。

 

 

▶資料4 2020年3月期見通し『全ての事業』

 

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▶資料5 2020年3月期見通し『各セグメント事業別』

 

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▶気づき
【増収】売上高 15,800億円 前年対比4.8% +720億円
【増益】営業利益 2,250億円 前年対比8.3%増 +173億円

 

▶分析のポイント
➤なぜ増収増益(堅調)の見通しなんだろう?
➤利益率の低い化粧品事業の方向性は?

 

こちらの見通しでは、全体として増収増益として公表していますが、
とりわけ、化粧品事業の見通し増収率が低いです。

 

▶各事業の増減率

ファブリックホームケア +8.0%
ヒューマンヘルスケア +7.8%
スキンケア・ヘアケア +5.7%
化粧品 +4.5%

 

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なつなさん

花王さんの化粧品といえば、カネボウ化粧品さんも同じグループでしたよね?

 

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こすぴー先生

2006年に花王グループに入りましたね。2013年に白斑問題が起きたり、なかなか業績がうまくいっていないようなんだ。

そこで、第3章では、化粧品3社の利益率の違いを勉強してみようと思います。

 

 

 

 

3.花王と他社との収益性比較!

Point ➤ 花王以外が好調。花王の新技術に期待高まる!

 

今回は、花王、オルビス、資生堂の3社の利益率を比べようと思います。

まず、今回比べる利益率とは、損益計算書にあたる、『売上高と営業利益』のことです。

 

営業利益とは、『本業をあらわす利益のこと』で、

売上高から売上原価と販売費及び一般管理費を除いた利益のことです。

 

▶資料6 損益計算書(売上高と営業利益)

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こすぴー先生

3社を比べた利益率は下記のようになっています。

 

 


▶資料7 3社の営業利益率比較

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*花王・オルビスは化粧品事業を、資生堂は日本事業をもとに比べています

 

 

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なつなさん

こう見ると花王さんだけが利益率が低いんですね~。。そういわれると、最近の化粧品ってすごいんですよ!!

 

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こすぴー先生

どういうことですか?

 

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なつなさん

資生堂のクレ・ド・ポー ボーテの化粧品ってとっても高級なんです。小さい美容クリームが1つ数万円とか!

でも、日本に旅行に来た中国人にとても売れている商品らしいんですよ~。

 

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こすぴー先生

なるほどね。

 

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なつなさん

オルビスさんだと、しわ改善美容液「リンクルショット」の人気が本当に高いです!これ、医薬部外品として承認を受けたので、「シワを改善する」と言い切ることができることでも有名なんですよ。

 

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こすぴー先生

化粧品業界でヒット商品が数多く生まれて盛り上がっているってことなんだね。

 

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なつなさん

だから、花王さんでもソフィーナやカネボウの化粧品でヒット商品が生まれないか期待したいですね!

 

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こすぴー先生

株主総会でも言っていた、新技術「ファインファイバー」がたとえば、シワを隠せるような商品として売れたら面白いよね。

 

 

 

参考に、花王のセグメント別の利益率を見ておきましょう。
花王の化粧品事業が、全体のなかでどういう位置をしめているのか確認します。

 

▶資料8 花王 セグメント別 営業利益率

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こうしてみると、化粧品以外の事業は、とても高い利益率を維持しています。

 

つまり、花王さんからすると、なんとかして

 

『化粧品事業のテコ入れを果たしたい』

 

のも事実でしょう。

 

裏返せば、他の事業が高い利益率でいる限り、数年単位でテコ入れが果たせるので、

 

【短期的】既存ブランドのソフィーナ・カネボウのテコ入れ

【長期的】新技術のファインファイバーと化粧品でなにかヒット商品を生み出すこと

 

この2つの視点を持ちながら、今後の決算発表を見ていきましょう。

 

 

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なつなさん

次回の2019年1Q決算では、化粧品事業がどうなったのか要チェックということですね!

 

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こすぴー先生

はい、その通りです!澤田社長も株主総会で自信を見せていたので、ぜひ今後もウオッチしていきましょう!

 

   

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こすぴー先生

ここまで読んでいただき、ありがとうございます^^

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