ソフトバンクG なぜ赤字決算の転落?WeWork特別損失計上により減収減益…!2019年第2四半期決算(2020年3月期)ソフトバンクグループ

 

 

[最終更新日]2019年12月27日↺ [読了目安]こちらの記事は4分程で読めます 

 

f:id:koala_log:20200821094342j:plain
 

 

f:id:koala_log:20190215135149j:plain
こすぴー先生

『ZAIMの教室 財務諸表専門の学校』のこすぴーです。

ソフトバンクグループ<9984>の2019年度2Qの決算が発表されました。(2019.11.6発表) (以下、ソフトバンクGと表記)

今回は、記者のしゅうじさんと分析していきましょう。

 

f:id:koala_log:20190424194739j:plain

しゅうじさん

いや、本当にびっくりしましたよ!!まさかの中間決算にて赤字転落とは…!

いったい、なぜなのでしょうか?【WeWorkに大規模な資本投入】という以前のニュースが関係してますよね?

 

 

f:id:koala_log:20190215135149j:plain
こすぴー先生

その通りだね!ソフトバンクGの投資先である”WeWork(ウィーウォーク)”の企業価値が下がったことにより、その評価損が損失となったのが今回の結論です!一緒に分析していこう!

 

 

➤目次

1. 2019年第2四半期の決算状況を見よう!

 Point ➤減収減益 要因はWeWorkの株式評価損による!

2.2020年3月期見通しを見よう!

 Point ➤公表なし!株式の評価損はどこに計上する?

3.『ボロボロ、真っ赤っかの大赤字』孫正義、語る!

 Point ➤投資ファンドの立ち位置を理解しよう!

 

\ YouTube動画で解説中 /

 

1.2019年第2四半期の決算状況を見よう!

Point ➤減収減益 要因はWeWorkの株式評価損による!

 

まずは、決算状況を、ホームページや説明会資料、決算短信にて振り返っていきましょう。

決算IR資料は、こちらにありますので、併せてご覧ください。

 

 

➤連結業績(減収減益


▶資料1 売上高と各利益

f:id:koala_log:20191106160201p:plain

 (決算短信資料より)

 

▶気づき

【減収】売上高 前年対比△0.0%の46,517百万円

【減益】営業利益 前年対比△ー%の△15,552百万円

 

▶分析のポイント

➤なぜ減収減益したんだろう?

 

 

 

f:id:koala_log:20190424194739j:plain

しゅうじさん

第2四半期累計の決算は、減収減益になってしまったんですね!

 

 

f:id:koala_log:20190215135149j:plain
こすぴー先生

そうみたいね!これはWeWorkの評価損が原因のようです。資料がありましたので見てみましょう!長い文章ですが、赤字だけでも見ておきましょう!

 

 

 

資料2 WeWorkの説明資料

1. 関係会社株式評価損の内容
当社100%子会社であるSB WW Holdings (Cayman) Limited(以下「SB WW」)は、コワーキングスペースサービス「WeWork」を手がけるThe We Company(以下「WeWork」)へ45億米ドル(2019年9月末現在)の投資を行っています。同投資は、普通株式と複数のシリーズの優先株式によって構成されています(注)。


WeWorkは2019年8月14日(米国東部時間)に米国証券取引委員会にForm S-1(証券登録届出書)を提出し、株式上場を目指していましたが、同年9月30日にコアビジネスに集中するため株式上場を延期すると決定し、同届出書の提出を撤回しました。この決定に合わせて同社事業計画の大幅な見直しが行われたことに加え、2019年10月22日(米国東部時間)には、2019年10月23日付当社開示「WeWorkによる当社からの大規模資金調達に関するお知らせ」のとおり、当社がWeWorkに対し大規模な資金コミットメントを行うことについて、両社間で合意に至りました。


こうした状況の変化を踏まえた結果、2019年9月末のWeWork株式全体の公正価値は78億米ドルまで下落し、当社は、2020年3月期の個別決算において、2019年9月末のWeWorkの公正価値を反映したSB WWの純資産と当社の簿価(取得価額)との差額である4,977億円を、SB WWに係る関係会社株式評価損として特別損失に計上する見込みとなりました。

 

 

 

f:id:koala_log:20190424194739j:plain

しゅうじさん

今回は、上場予定であった投資先のWeWorkが上場にならず、企業価値が下がってしまったんですね…。

 

f:id:koala_log:20190215135149j:plain
こすぴー先生

営業利益が△15,552百万円ですので、この損失497,700百万円がなければ…

482,214百万円の利益がでていたんだ。それぐらいインパクトが大きい話だね!

 

 

2.2020年3月期の見通しを見よう!

 Point ➤公表なし!株式の評価損はどこに計上する?

 

ここからは、2019年度(2020年3月期)の見通しを確認しておきましょう。

 

今回はWeWork問題もありましたので…

 

見通しの公表はありませんでした!

 

 

資料2 2020年3月期見通し

f:id:koala_log:20191106161554p:plain

 (決算短信資料より)

 

 

f:id:koala_log:20190424194739j:plain

しゅうじさん

たしかにこの状況では、今後の見通しを出すことは難しいですよね…。

そういえば、今回は特別損失といいつつ、なぜ営業利益にこんなに赤字のインパクトがあるんですか??

 

f:id:koala_log:20190215135149j:plain
こすぴー先生

よく気づいたね!これは、ソフトバンクGが、国際会計基準(IFRS)を採用しているからだよ!実際の財務諸表を見てみよう!

 

 

資料3 第2四半期の損益計算書(2020年3月期)

f:id:koala_log:20191106162107p:plain

  (決算短信資料より)

 

f:id:koala_log:20190215135149j:plain
こすぴー先生

この赤枠が今回、WeWorkによる損失が入っている箇所だね。

日本基準を採用している企業であれば、今回の特別損失は、経常利益より下で調整するのはわかるね?

 

f:id:koala_log:20190424194739j:plain

しゅうじさん

はい、その理解でしていました!国際会計基準(IFRS)だと違うんですか?

 

f:id:koala_log:20190215135149j:plain
こすぴー先生

そうです、国際会計基準(IFRS)のルールに則ると、営業利益より上で調整します。

国際会計基準では、この【特別】という概念は、最終段階で調整する考え方ではないのと理解しておこう!

 

 

 

 

 

 

3.『ボロボロ、真っ赤っかの大赤字』孫正義、語る!

Point ➤投資ファンドの立ち位置を理解しよう!

 

f:id:koala_log:20191107100424p:plain

 (決算説明会資料より)

 

 

f:id:koala_log:20190215135149j:plain
こすぴー先生

孫社長の言葉を振り返りつつ…ソフトバンク・ビジョン・ファンドの立ち位置を解説していきます!

  

 

 

 


ソフトバンクグループ 2020年3月期 第2四半期 決算説明会

 

 

孫正義『ボロボロでございます、真っ赤っかの大赤字です。

 

冒頭の会見で、第一声がこちらのフレーズでしたが…

 

孫さん、どことなく元気がない様子でしたね。。

 

 

いつもは元気にプレゼンをする孫さんですが、

さすがに今回ばかりは思わぬ痛手であったと思われます。

 

ここまで赤字決算を発表するのは…

 

04年9月中間決算以来の15年ぶり

 

ということなので、大きなインパクトのニュースでした。

 

 

孫正義『投資の判断がまずかった、大いに反省している。』

 

今回のWeWorkへの投資判断については、きっぱりと頭を下げていました。

 

とはいえ、『投資』なので…

 

10戦10勝はありえない

 

というのは、正論であり、その通りだと思います。

 

ソフトバンクグループは、投資企業であるので、

 

おいしい果実(利益)を得ることもあれば

腐った果実(損失)を食べてしまうこともあります。

 

これが、リスクリターンの関係です。

 

事実、決算説明会資料では、

投資先88社(ソフトバンク・ビジョン・ファンド1)のうち…

 

▶資料4 SVF1の累計投資成果

f:id:koala_log:20191107103043p:plain

 (決算説明会資料より)

 

価値増加⤴(37社):1.8兆円

価値減少⤵(22社):△0.6兆円

 

合計では…

 

投資利益1.2兆円

 

 

 

f:id:koala_log:20190215135149j:plain
こすぴー先生

たしかに、WeWorkの投資はまずかったのかもしれないが、投資全体としては、儲けが出ている勝ちであるという事実は冷静に受け止めてよいと思います。

 

f:id:koala_log:20190424194739j:plain

しゅうじさん

たしかに、一般的なメディアとしては、「窮地」「曲がり角」「倒産」といったフレーズで遡及した方が嬉しいでしょうが、企業経営としてはまだ累計で勝ちであることはあまり触れられませんね。

 

 

 

孫正義『反省はしたが、萎縮はせず』

 

泥沼に足を突っ込んでいる、など批判をされていることは

冷静に孫正義さんも受け止めていました。

 

ここで、最後に確認しておきたいのですが、

 

ソフトバンク・ビジョン・ファンドが、

ソフトバンクG内で、どういう立ち位置なのかイメージできますか??

 

よく、ソフトバンクGは…

 

携帯会社ではなく投資会社だ!

ヤフーもいるんだぞ!

ZOZOもいるんだぞ!

 

と言われて混乱しませんか?

 

今回は、どういう企業構造であるのかをざっくり理解しておきましょう。

 

以前、なぜZOZOはヤフーに買収されるのか?という解説をしたときに

下記のような図解で解説しました。

 

▶資料5 ソフトバンクGとヤフーとZOZOの関係

f:id:koala_log:20191107105637p:plain

(ZAIMの教室にて作成)

 

ここで、ソフトバンクグループの一部の企業との関係を図式化すると、下記のような関係になります。

*すべての企業は載せておりませんのでご注意ください

 

 

▶資料6 ソフトバンクグループの全体像①

f:id:koala_log:20191107105751p:plain

(ZAIMの教室にて作成)

 

 

f:id:koala_log:20190215135149j:plain
こすぴー先生

こんな風に、ソフトバンクグループが親のような立ち位置で、子供である企業の株式を保有することによって、大きな連合体グループとなっております。

 

f:id:koala_log:20190424194739j:plain

しゅうじさん

そうすると…ここにソフトバンク・ビジョン・ファンドを加えると下記のような感じですね!

 

 

 

▶資料7 ソフトバンクグループの全体像②

f:id:koala_log:20191107105837p:plain

(ZAIMの教室にて作成)

 

 

 

f:id:koala_log:20190215135149j:plain
こすぴー先生

そうだね、あくまで子会社ではなく、投資ファンドを設立して、ソフトバンクGが出資した分だけ、企業決算に反映するイメージだね!

 

f:id:koala_log:20190424194739j:plain

しゅうじさん

なるほどな~、なんとなく、活字の新聞やネットニュースを目にしても、ソフトバンクグループの実態は??と整理できませんでしたが、こうして図解すると一気に組織が見えてきました!

 

f:id:koala_log:20190215135149j:plain
こすぴー先生

ぜひ企業分析するときは、自分で図解してみてくださいね!

今後も、ソフトバンクGの動向は目が離せませんので、ZAIMの教室としても、ウォッチしていきたいと思います^^!!

 

 

 

 

 

 

 

f:id:koala_log:20190215135149j:plain
こすぴー先生

ここまで読んでいただき、ありがとうございました^^

下記のコラムも、応援の想いをこめて書きあげています。ひと休みしたら、ぜひご覧ください。

 

 

 

 

  

f:id:koala_log:20200819113226p:plain

 

財務諸表を読めるようになりませんか?

ディズニーリゾートを事例に

財務諸表の読み方を解説!

無料テキストをプレゼント中です!

\ 30秒で無料ダウンロード‼︎ /

ダウンロードはこちら

今回頂きました個人情報は、本サービスならびに
その他本サービスに関連する情報提供にのみ利用させていただきます