[最終更新日]2019年10月30日 [読了目安]こちらの記事は3分程で読めます
『ZAIMの教室 財務諸表専門の学校』のこすぴーです。
ANAホールディングス(9202)の2019年度2Qの決算が発表されました。(2019.10.29発表) (以下、ANAと表記)
今回は、以前ANAの決算分析を一緒に行った、ふゆみさんと分析していきましょう。
話題のハワイ路線のフライングホヌ（エアバスA380）の状況も知りたかったので、気になっていました！
海ガメをモチーフにした、大きなジェット機をハワイ路線に就航しましたよね！
今回の決算は、見通しを下方修正したことが、とても大きなトピックなので分析していきましょう！
▼話題のハワイ路線ホヌ
➤目次
１. 2019年第２四半期の決算状況を見よう！
Point ➤増収減益 要因は先行投資による減益！
２.2020年３月期見通しを見よう！
Point ➤増収減益 下方修正が入る…！
３.ハワイ路線エアバスA380型機ホヌは好調？
Point ➤搭乗率90％超の人気機体…！
▸結論
【ANAHD上期決算】
— ZAIMの教室@財務・会計研修講師 (@zaim_academy) 2019年10月29日
上期実績:増収減益
通期見通し:増収減益 *下方修正
上期は1.7%増収、△25.0%減益
ホノルル線好調も空港発着枠拡大の先行投資で減益。
見通しもこれまでの予想の増収同等益から下方修正。
国際貨物,ビジネス,韓国線の需要減による。https://t.co/ooFZnUeJPJ
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１．2019年第２四半期の決算状況を見よう！
Point ➤増収減益 要因は先行投資による減益！
まずは、決算状況を、ホームページや説明会資料、決算短信にて振り返っていきましょう。
決算IR資料は、こちらにありますので、併せてご覧ください。
➤連結業績（増収減益）
▶資料１ 売上高と各利益
（決算説明会資料より）
▶資料２ 『航空事業』の収益
（決算説明会資料より）
▶気づき
➤【増収】売上高 前年対比1.7％増の10,559億円(＋179億円)
➤【減益】営業利益 前年対比25.0%減の788億円(△263億円)
▶分析のポイント
➤なぜ増収減益したんだろう？
第２四半期累計の決算は、増収だったのに減益になってしまったんですね！
そうみたいね！少し要因を一緒に振り返ります、まずは、セグメント別で売上高と利益を見ていきましょう！
資料３ セグメント別の売上高と利益
（2018年度決算説明会資料より）
セグメント別に見ると…
売上高は、主軸の航空事業（＋142億円）を中心に大きく増収しておりました。
しかし…営業利益を見てみると…
航空事業が大きくマイナスの減益結果（△275億円）になっております。
他の事業は、減益にはなっていません。
また、航空事業は増収にも関わらず減益なので…
いわゆる費用が大きく利益を圧迫したことが予想されます。
ということで、航空事業の収入・費用別の明細も確認しておきましょう。
資料４ 航空事業の収入と費用
（決算説明会資料より）
航空事業の収入・費用を見ていくと…
➤収入（売上高）
・【国際線】【国内線】ともに増収！特に【国際線】は大きく増収している。
・【貨物郵便】が大きく減収している。
➤費用（売上原価・販管費）
・一番の大きな費用の【燃料費・燃料税】が前年対比減少…！
・しかし、【整備部品・外注費】と【減価償却費】が大きく増加！
・【人件費】はそこまで大きく増加はしていない
やっぱり国際線は大きく増収していましたね！これは…話題のホヌの効果みたいですよ！決算短信にも下記のように書かれていました。
▶決算短信（一部抜粋）
国際線旅客では、ビジネス需要が弱含んでいるものの、ネットワークの拡大に伴い、ハワイ線、欧州線の旅客数が増加したこと等により、収入は前年同期を上回りました。
路線ネットワークでは、日本からオーストラリア西部への唯一の直行便として、９月より成田＝パース線を新規開設しました。成田＝ホノルル線において、エアバスA380型機「FLYING HONU」２号機を投入し、７月からは同型機での運航を週３便から週10便に拡大しました。より多くのお客様に広々とした機内空間の「FLYINGHONU」での快適な空の旅を提供してまいります。
やっぱりホヌ効果は大きいみたいね！第３章でも探っていきましょう。ここでは、貨物収入の売上高がよくありませんでした。要因は、米中貿易摩擦による需要減速だそうです。
▶決算短信（一部抜粋）
国際線貨物では、７月から成田＝上海線に大型貨物機ボーイング777F型機を導入し、半導体製造装置等の大型特殊貨物の需要を取り込みましたが、米中貿易摩擦をはじめとする世界経済の減速を受け、日本発・海外発ともに需要が減退したこと等から、輸送重量・収入ともに前年同期を下回りました。
経済ニュースももちろん関係するんですね！営業費用も、【整備部品・外注費】と【減価償却費】などが大きく増えていました。これは、2018年決算でも言っていたとおり、2020年に向けた首都圏空港の発着枠拡大による影響ですか？
その通りだね！やはり予想通り、2020東京オリンピック・パラリンピックなども控え、より経費や投資が進んでいるようです。決算短信にも記載されていました。
▶決算短信（一部抜粋）
世界経済の先行きの不透明感から国際線貨物を中心に減収となったものの、ゴールデンウィーク10連休の需要を取り込んだこと等から、航空事業の売上高は前年同期を上回りました。
一方で、安全・品質サービスの更なる向上や来年に控えた首都圏空港の発着枠拡大に備えて、人件費、機材費、整備費等が増加したことから、営業利益は前年同期を下回りました。
２．2020年3月期の見通しを見よう！
Point ➤増収減益 下方修正が入る…！
ここからは、２０１９年度（2020年3月期）の見通しを確認しておきましょう。
じつは、２０１９年度のANAもいろいろと変化が目白押しです。
▶ANAの2019年度見通し
✔ アジア・オセアニア路線の新規開拓
✔ エアバスA380型機による“ハワイ戦略”
✔ 格安航空会社（LCC）のピーチとバニラ・エアの統合
今回の大きなトピックとしては、これまでの見通し数値から悪くなる見通しへ修正が入りました！
いわゆる、下方修正の見通しとなりました。
資料５ 2020年3月期見通し『全ての事業』
（決算説明会資料より）
これまでの予想ではこちらの記事でも解説しているとおり、
増収同等益を見通していたのですが…
一転…
増収減益見通しとなりました。
要因としては、資料にも記載のとおり下記となります。
①ANA国際貨物 需要の低迷が継続
②ANA国際旅客 ビジネス需要が弱含み
③LCC 韓国線の需要減少
米中貿易摩擦に韓国線の需要減…！どれも経済情勢のニュースに打撃を受けていますね…。決算短信にも下記のように書かれていたので、引き続き、先行投資をするも、売上高見通しがつきづらくなったんですね。。
▶決算短信・売上高（一部抜粋）
上期の売上高は前年同期に比べて179億円増加しましたが、米中貿易摩擦等による貨物需要の減少や、国際線ビジネス需要の一部に伸び悩みが見られたこと等により、当初想定を下回りました。下期についても、この基調が継続すると見込まざるを得ないことに加え、ＬＣＣ事業においても他社との競合が激化しております。これらの影響を勘案した結果、通期の売上高は当初予想と比べて600億円程度減少し２兆900億円の見通しとなりました。
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３．ハワイ路線エアバスA380型機ホヌは好調？
Point ➤搭乗率90％超の人気機体…！
見通しは下方修正になりましたが…それでも話題のハワイ路線ホヌは絶好調のようです！
実はわたし、マイルでハワイに行きたいので、ホヌの機体を予約しようとしたら…
全然予約がとれないんです…！もうびっくりですよ（泣）
それもそのはず、搭乗率が９０％を超えているようだよ！５月に１機目を導入後、７月に２機目を就航した後も人気ぶりは健在のようで、ハワイマーケットにも変化が訪れそうです。
▶資料６ エアバスA380型機の機体種類
（ANA公式HPより）
（はぁ…わたしも予約とりたい。。）
マイルによる争奪戦も激化のようだね（笑）今後のハワイ戦略も説明会資料にばっちり書かれていました！
▶資料７ ハワイ戦略
今後のANA vs JAL のハワイ戦争がどうなるのかが、2019年のポイントになりそうですね！通期結果がでたらぜひ分析比較してみたいです。
そうだね！現状の首都圏～ホノルル便のANAシェアは約２０％、いっぽう、JALは約３０％あるようですので差が開いています。
これを、エアバスA380型機投入後は、３０％強まで引き上げたいみたいだから、どういう結果になるのか楽しみです！
2019年度のANAもJALも、決算分析がとても楽しみ♡引き続き、決算分析お願いします！
そうですね！ぼくもマイルでホヌの予約をチャレンジしてみます！そして、いつか…ホヌの実機レビューをしてみたいなぁ^^
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ここまで読んでいただき、ありがとうございました^^
下記のコラムも、応援の想いをこめて書きあげています。ひと休みしたら、ぜひご覧ください。
▼財務諸表・決算書を勉強してみたい方はどうぞ^^
